気候市民サミット①IPCC特別報告書をよむ
10月20日に気候市民サミットin京都 〜気候危機とIPCCの気候科学・脱炭素革命・自然エネルギー100%〜が開かれたので、そこで話されたこと、考えたことを自分なりにまとめてみました。1年近く更新をしていませんでしたが、今日はたまたま時間があり…
現在はClimate Youth Japanにて、12月のCOP24派遣に向け準備をしているところです。
- IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が今月上旬に出した、1.5°Cの地球温暖化に関する特別報告書のサマリーを理解すること
- 脱石炭の市民運動に従事する方の話を聞き、今後若者が国内や国際会議の場においてどのように行動していけばいいか手がかりを知ること
- 登壇された方も含めて参加された方々と何らかの形で繋がること
目標①IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が今月上旬に出した、1.5°Cの地球温暖化に関する特別報告書のサマリーを理解すること
気候変動の分野で有名な江守 正多さん(国立環境研究所)のお話を聞くのは初めてで、第6次報告書にもかかわっている学者の方の見解を知ることが出来たのは貴重な機会だった。
報告書はこちら(原文・英語)。「IPCC 報告書」と検索すると日本のNGOがまとめたものも見つかる。それでは順に追っていこう。
現在地は?
現時点で産業化以前を基準に既に約1℃温暖化しており、このままのペースなら2040年前後に1.5℃に到達してしまう。
そして仮に現時点で人間活動による排出をピタリと止めても温暖化と海面上昇は数百年以上続くが、1.5℃までは温暖化しないだろう。
後者に関する議論に「ティッピング・ポイント(tipping point)」という言葉が登場し、海上からの質問が湧きあがった。
少しずつの変化が急激な変化に変わってしまう転換点を指す用語である。気候変動についても、あるレベルを超えると、気候システムにしばしば不可逆性を伴うような大規模な変化が生じる可能性がある、こうした変化については、現時点では未解明な部分も多く、さらなる研究が必要であるが、その潜在的な深刻さについては認識しておくことが重要である。
未だ解明されていないことも多いが、+2℃上昇からスイッチが入り温度上昇が止まらなくなる転換点があるそうだ。
1.5℃温暖化したらやばくて、2℃温暖化すればもっとやばい
パリ協定では「世界的な平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保つととも. に、1.5℃に抑える努力を追求すること」という目標が掲げられている。この目標に対してどう考えるだろうか?2℃達成出来たらセーフで1.5℃なら安心!ではない。1.5℃温暖化したらやばくて、2℃温暖化すればもっとやばいのだ。ここでは具体的にどんなことが起こるかは省略するが、その悪影響は北極域、乾燥地域、沿岸低平地、小島嶼などに住む途上国の貧しい人たちや先住民族がはじめに被る。
改めて、”だれのために”という観点を忘れないでおこう。
2℃、1.5℃に抑える努力はめいっぱいすることは前提とした上で、「オーバーシュート」の策があると報告書に書かれている。
「オーバーシュート」とは温暖化が1.5℃を一度超えてから1.5℃まで下げることである。どうするか?人為的に大気中の二酸化炭素を除去する技術(CDR)を用いる。少量ならば、植林や農地の土壌管理などで可能であるそうだ。すべてをこの技術に頼ることはできないことを認識しておきたい。
これからの社会はどうなっていく?
これから世界全体で目標を達成するには、いち早いシステムの転換が求められる。
システムの転換=投資の増加、政策、イノベーションの加速、行動変容
「いまある技術を低コストで社会に普及していけるか」「想定されているイノベーションはもっとダイナミックに起きており」、例えばデジタル化や自動化という技術をどう気候変動問題に応用していけるかも柔らかい頭で考える必要がある。という言葉が印象に残った。